ニセコバックカントリーTOUR
去年に引き続き、ニセコへバックカントリーTOURに出掛けてきた。今年で4年連続になる。自分にとっては(というと聞こえがいいが)、これも体力と気力へのひとつの挑戦でもある。今年は一人ぼっちでの挑戦。そういう意味では自由がきいたので、1月19日に札幌入りし友人とあい20日に電車でニセコへ向かう。実際の行程は2泊で山は1日半滑る計画だ。札幌からニセコの玄関である倶知安へは、約2時間の行程だが小樽から先の電車がほとんどなく乗り継ぎを間違えると思わず時間がかかってしまう。ドジな私は本来なら2時発の汽車で4時過ぎには倶知安への到着予定が、札幌駅で調子に乗って昼からビール数杯をひっかけてお店に携帯を忘れ、電車に乗り遅れて、さらに2時間まちを余儀なくされ、結局倶知安へは6時過ぎ、そこから定期バスで7時前にようやく宿に到着した。ニセコは昨今外国資本の流入で地価が高騰し多くの民宿が売却され、おまけに一人となるとなかなか泊まるところがない。今回はたまたまヒラフのリフトに程近い銀嶺荘に宿を確保できた。ここは一泊2食付きで7,580円。おまけに鉱泉があり、礼儀知らずなOG(風呂で酒飲んで騒いだりする)もほとんど宿泊していないので快適だった。そとは深々と雪が降り続いている。夕食を済ませ風呂につかってその日は就寝。
翌21日は7時に起床。昨晩からの雪は相変わらず降り積もっているが風がなくコンディションは良さそう。早々に朝食を済ませてガイドとの待ち合わせ場所であるニセコヒラフ第一リフトへいく。昨年同様、今年もガイドはニセコで10年以上ガイドを務める瀬戸さんにお願いした。彼は私と同い年で、アラスカのダウンヒルも滑降したことのあるエキスーパート。そして友人のお兄さんでもある。
ゲレンデに到着。ベースから見るゲレンデは上の方にだいぶガスがかかっているものの風もなくコンディションは良さそう。
そこへ瀬戸さんが到着。1年ぶりの再会。あいさつを交わし早速今日のコースの説明を受ける。話によるとここのところずっと雪が降り続いているので雪は深くコンディションはかなり良いとのこと。ハイクアップを加えてニセコ山頂より北斜面を滑降することになった。
早速、ビーコン(遭難用探索信号機)を装着しスノ―シュー、POLEを借りてリフトで山頂を目指す。
最初のリフトで瀬戸さんの友人である山崎さんと同乗。彼はかつてアルベールビルオリンピックで日本人で初めてモーグルの代表となり、その後は解説者として長野オリンピックでは「たえ~やった!」と絶叫してお茶の間を沸かせた人だ。山崎さんはすでに最初のRUNを終えたばかりで「今日はどのゲレンデも最高の雪質で素晴らしい」と話してくれた。否応にも気分は盛り上がる。ただ自分的には今回のTOURが自分にとってまだ今シーズン2度目のスノボーであること、そして日本におきっぱなしの普段の板よりは10cm以上長いパウダー用の板(170cm)をうまく乗りこなす脚力があるかという一抹の不安があった(この不安が後で的中することになる)。
途中の中継地点でまず、雪崩情報のチェックをする。
奥が山崎さん、手前が瀬戸さん。
温度計はマイナズ15度をさしている。この寒さが乾燥した雪をそのまま保存する。
この中継地点で山崎さんと別れ我々は山頂を目指す。
山頂へ向かう最後のリフトの終点にはすでに多くのスキーヤーとボーダーが集まり山頂を目指してつぼ足(靴のまま)でのハイクを始めていた。我々もこの列に加わり山頂を目指す。
約15分のハイクでようやく山頂に到着。でも実はこの時点ですでにだいぶ疲労困憊。今までの運動不足がたたられる。おまけにゴーグルがすぐ曇ってしまう(日本におきっぱなしで手入れなし)。ゴーグルの曇りはバックカントリーでは致命傷だ。マイナス15度の世界では曇りがすぐに凍ってしまうので厄介なことこの上ない。発汗性の悪いウェアにも原因がある。山頂では多少風もあり、避難小屋でゴーグルの曇りを落とし、少し休憩して滑降地である北斜面へ移動。
北斜面は、ボトムの見えない白銀の世界、ノートラック、そして静寂
まず瀬戸さんが滑降。華麗にシュプールを描きボトムに吸い込まれていく。そして私がテークオフ。雪は思ったより深くサラサラのパウダーは腰辺りまでありそうだ。そこを疾走する。30度近い斜度ではスピードがつくとだんだんノーズが浮き上がってきてやがて雪面に顔を出す感じ。まさに無重力の未体験ゾーンを駆け抜ける気分は最高!いぇーい!
ところが何回かのターンのあと自分の巻き上げたスプレーで視覚を失い、雪だまりに突っ込んで派手に転倒。もがくくらい深く潜ってしまった。何とか顔だけは出すことに成功。スノーボードの死亡原因の第一位は雪中に埋もれての窒息死という記事を思い出し、蒼くなる。ウェアもゴーグルもすべて真白だ。
自分が見えないくらいの深い雪での転倒はヤバい。一瞬をとらえた瀬戸さんのナイスショット!
この派手な転倒ですこしビビりが入ってしまい、腰が引けて思うように滑れない。せっかく素晴らしいコンディションなのに未練がのこる。おまけにゴーグルのコンディションも最悪で曇りが凍結し、視界の確保が難しく絶えず止まってクリーンアップしければならない。
かなり長い距離だったはずだが、気がついたら豪快なランは最初だけでボトムまで降りてしまった。。。とほほ。。。
ボトムは本来県道が走っているところだが、豪雪で冬季は閉鎖されている。ここでスノーシューにはきかえ(瀬戸さんはスキーにグリップを付けてテレマークで移動)ハイクアップ。ところがここでも大誤算が生じる。自分の体力のなさの問題なのだが、大雪のために前を歩く瀬戸さんの後でスノーシューをはいても、膝まで雪に埋まってしまい、まったくうまく歩けないのだ。おまけに足を抜きながらの歩行はかなり疲れる。結局20m歩いては止まり、という感じになってしまった。瀬戸さんにどのくらい歩きますかと尋ねると「2kmぐらいでしょうか?」と絶望的な返事。。。ここから長い長い雪中行軍が始まった。
とにかく凄い雪、4mはあるだろうか。これ県道ぞいの普通の標識。こんなに低いというか雪がおおい。
歩いてきた部分の深さも強烈…。
途中の素晴らしい景色に励まされながら、なんとか2kmは確実にあったと思う雪中行軍を終えた頃には2時間以上を経過し、体力もほぼ限界に近い状態だった。ただそこからもう一本のRUNが待っている。ここもノートラックで素晴らしいコンディションなのだが、気持にあまり余裕がない。何とか気力を振り絞って最後のRUNに挑戦。滑り出しは良かったが、すでに膝に力がはいらず踏ん張りも効かずに、やはり転倒。。。情けない。
やっとのことで起き上がる。雪まみれ。へろへろ状態。
その後ボトムからはなだらかな斜面を移動するのだが、これがまたひと苦労。勢いがつかないと止まってしまうところがいくつもあるのだ。結局POLEを出して、この助けを借りながら何とか滑り続ける。
すでに疲れ果てて思考力はゼロ。。。
ようやく普通のゲレンデに戻った頃にはすでに2時をまわっていた。とにかく長く過酷な一日だった。まさに荒行。。。
その後瀬戸さんとランチ取る。あまりにしょげている(ように見えた)私をみて瀬戸さんが、「実は明日もあいてるのでもしよかったらハイクアップなしでパウダーを楽しめるところへご案内しますよ」とオファーしてくれた。私に許された時間はあと半日しかないのだが(当初は一人ヒラフで滑る予定だった)、自分の情けなさで不満足だったこともあり、お願いすることにした。その日は民宿に着くと靴を脱ぐのもやっとの状態で風呂に入って食事をすませ少し飲んだら直ちに爆睡だった。 ZZZ.
翌22日は朝から雪だが前日よりは少し明るい。民宿のチェックアウトを済ませ瀬戸さんの到着をまつ。8時過ぎに瀬戸さんが到着。一路ゲレンデを目指す。今日の目的地はチセヌプリ。ここはニセコエリアのから約30分のところにある、地元運営のスキー場でリフトは1本だが、メジャーエリアから離れているのでアクセスが少なく地元の人しか来ないようなポイントだ。
30分後にゲレンデ到着。たまたま自衛隊が雪中教練に来ていたが他には我々以外にひと組のスキーしかいない。雪も深々と降り続きかなり期待が持てる。
9時のオープンと同時に早速リフトで上がる。半日のリフト代がわずか2,200円というのも嬉しい。
リフト券売リ場も木造で情緒(?)があり、いい雰囲気だ。
リフトから見る限りコンディションも素晴らしそうだ。前の日についたトラックも数えるほどで、おまけにその上を新雪が覆っていい感じ。
リフトを降りて早速スタート、瀬戸さんの先導で最初から非圧雪エリアに突入。見た目通りの素晴らしいコンディション。腿から腰のパウダーの中を疾走すると、まさに空中遊泳の気分。斜度もきつくないのでスピードをアップできる。ノーズがどんどん浮いてくるのが分かる。ターンの感覚も波乗りに近い。
ミニマムトラックのご極上コンディションをクルージング。バフバフのパウダー。いぇーい!
そんな素晴らしいランを何本も続け、ツリーランも瀬戸さんならではのコース設定で、まったくのノートラックの素晴らしいエリアばかりをガンガンと攻める。本当に感激!思わず雄たけびを上げたくなる気持のよさだ!
今まで経験したことのない極上のツリーラン!とにかく素晴らしい!
あっという間の3時間だった。半日しかできないのが本当に悔やまれたが、前日の疲れをすっかり忘れてしまうほどの素晴らしいセッションだった。感激以外の言葉はない。
大満足のひと時。感無量の気分。瀬戸さん、ありがとうございました。
このチセヌプリに隣接したところに国民宿舎が一つあるのだが、そこは何と天然温泉の源泉で露天風呂が7つあるという。次回はぜひ、ここをベースに攻めてみたいと思った。
瀬戸さんのドライブで再びニセコへ戻る。民宿では荷物を預かってくれるばかりか、お風呂も使わせてくれる。この親切なサービスは日本ならではだな~と、これまた感心。
御世話になった銀嶺荘。なんとお土産にニセコワインまで持たせてくれた。。。。感涙。
ゆっくりと湯船につかって疲れをいやし、荷物をまとめて、午後2時半にはゲレンデの近くにあるバス乗り場へ。ここから一路、千歳空港を目指す。千歳までは約2時間半。そして夜のフライトで羽田へむかう。
バス停へ向かう途中、雲が切れてニセコのシンボル羊蹄山が姿を見せてくれた。
毎度のことだが、今回は以前にも増していいTOURだった。初日はかなりやられてしまったが、2日目のパーフェクトな出来栄えですべてが綺麗にまとまった感じ。逆に初日があったからこそ2日目の素晴らしさが倍増したのかもしれない。いづれにしてもやはり、日頃からの体力作り、そしてきちんと道具の手入れをして決して安易に考えてはいけないこと(すべて当たり前の事なんだな)。これらの教訓を忘れずに来年もまた挑戦したい。






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